開校前の学校が「夏休みの宿題」を出す理由 「人口1000人の町をつくるなら?」
まるごとnote編集チームです。
「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てる、神山まるごと高専(仮称・認可申請中)(以下、神山まるごと高専)に関する情報を伝えています。
開校前の学校が、夏休みの宿題を出す。
そんな珍しい取り組みを、神山まるごと高専は行います。今回の企画に込めた理由を事務局長(予定)の松坂孝紀に聞きました。
「夏休みの宿題」を出そうと思った理由
――「夏休み宿題」に込めた思いをぜひ教えてください。
不思議に思いますよね。私たちとしては、2つの思いを込めています。
一つは、神山まるごと高専とマッチする学生に来てほしい。もう一つは、自分と神山まるごと高専のマッチ度を確認しながら、進学先として自分に合う学校なのかを考えてほしい。そんな思いで、今回の企画をしています。
以前にも、noteにまとめてもらったように、神山まるごと高専では、入試について「学校とのマッチ度を重視する」という方針を定めています。
この「マッチ度」というキーワードは、入試の世界ではあまり一般的ではないので、一般の受験対策ではなかなか対応しにくい部分だと思っています。ましてや、求める学生像も特色があり、新設校でもあり、イベントなども参加枠が限られてしまう。「神山まるごと高専が自分に合うか?」という問いを考える機会を十分に提供できているのだろうか、という問題意識はあったんです。
――どのようなきっかけがあって、企画することになったんでしょうか?
サマースクールの選考課題がまず一つのきっかけでした。38名の定員に対して211名の応募をいただき、大変嬉しかった一方で、選考を通過できなかった方からは「難しかった」「どうしたらよかったのか?」という声も上がってきました。
その中で、「自分はこのまま神山まるごと高専を目指していいのだろうか?」という声があったことが、とても気になったんです。
その学生が提出した内容を見ると、まだまだ伸びしろがあると感じましたが、マッチしている部分もあることが感じられたんです。同時に、「正解のない問い」に慣れていないことを感じました。「正解のない問い」に慣れていけば、もっと成長できる可能性がありそうだ。そんな感覚が、サマースクール課題振り返り会を7月の中旬に企画したことにつながっていきます。
――サマースクール課題振り返り会ではどのようなことを行ったんですか?
課題の評価ポイントや、実際に評価が高かった方の課題を紹介しながら、「正解のない問い」の考え方についてご紹介しました。学校が自分たちの選考課題を解説するのは、なかなか珍しいことかなと思いましたが、マッチ度を確認してもらうための企画として行いました。
結果として、サマースクールの応募者211名を超えて、300名近い方にご応募いただきました。課題振り返り会の方が人が集まるということは、課題を考えている途中で、悩んで、出さなかったという人が一定いるということですし、求められている機会だったんだろうなと感じました。
――振り返り会の反響はどのようなものがありましたか?
「正解のない問い」に対する考え方を知る中で、「自分はマッチしていないのでは?」という思いから、「もっと成長できる所があるだけなんだ」と変化した方が多かったようです。
「サマースクールの結果は悔しかったけど、やっぱり神山まるごと高専を目指したいので頑張ります」という声も多く届きました。あと、保護者の方から「自分自身も勉強になった。中学校で教えてくれる内容ではなかったので、ありがたかった」という声もいただきましたね。
一方で、「今後も正解のない問いにチャレンジできる企画を開催してほしい」「一人でもできるものがあれば嬉しい」などの声も多くありました。「入試対策としてやりたい」ということよりも「自分に合っているのかを、成長した自分として確かめたい」という思いから出てきていると感じる内容が多かったんですよね。その思いにこたえるために、何か企画できないかということを話し合っていったんです。
神山まるごと高専からの夏休みの宿題
――それで、夏休みの宿題という企画が出来たんですね。
夏に、各自が一人でやること。それって中学校でいう宿題だなと思って、夏休みの宿題という企画にしました。
神山まるごと高専が求める学生像の中で特に重要なこととして、「正解のない問いに対して、独自の解を出せる人」という項目があります。サマースクール課題でも「正解のない問い」を扱ったのですが、夏休みの宿題でも取り組みがいのある問いを設定したいと思いました。それで「人口1000人の町をつくるなら?」という問いを設定したんです。
――課題にはどのような思いを込めたのでしょうか?
「正解のない問い」って考えるのにエネルギー要りますよね。せっかくだから神山まるごと高専とのマッチ度を考えられるきっかけになるような問いにしたいなと思いました。
神山まるごと高専は全寮制ですので、神山町に5年間住んで頂くことになります。暮らす町を変える、ということは大きな変化であり、「親元を離れてここで暮らしていけるのか」「どんな暮らしをしていきたいのか」を考えることが必要だと思っています。
今回、設定した問いを考える際には、「どんな町が魅力的な町だと思うのか?」「私はどんな町に住みたいのか?」ということも合わせて考えるきっかけになると考えています。これらの問いに向き合う中で、親元を離れて神山の地で過ごすことが自分にとってどのような意味を持つのかを考える機会にして欲しいなと思っています。
――相互評価のプロセスが入るのも特徴的ですね。
そうなんです。学生が課題を出して、神山まるごと高専のスタッフが評価するというだけではなく、学生同士が相互に評価しあうプロセスを入れることにしました。
相互評価は二つのメリットがあると思います。
一つは、多くの方からコメントがもらえるということです。もう一つは、評価する側に回ることで、どのような回答がよい回答なのかを客観的に考えることが出来るということです。他の回答を見る中で、改めて自分自身の良さも見えてくるし、課題も見えてくると思うんです。自分よりも良い回答をしている学生がいることを知って、「悔しいなぁ。もっと成長したい」と思うのか。それとも「もうダメだ。自分には向いてない」と思うのか。ここは大きな分岐点だと思っています。
評価コメントもできるだけ、お返ししたいと思っています。良いコメントがたくさん来る中で、「自分、結構いいんじゃない?」と自信を深めるきっかけになるかもしれないですね。
――最後にメッセージがあればお願いします。
今回の企画は年齢も問わず参加できますし、地域も時間も問わずオンラインで参加可能です。
部活や夏期講習などの合間に、ぜひチャレンジしてほしいですね。実際の入試と今回の評価は全く関係ありませんので、課題にチャレンジする中で、多くの学びを得てほしいなと思っています。
あとは、「正解のない問い」を考えるということを、とにかく楽しんでほしいなと思います。考えるプロセスを楽しめる人は、神山まるごと高専に合う可能性があると思います。皆様のご参加お待ちしています!
夏休みの宿題へのエントリー方法
参加希望の方は下記の流れでご参加ください。
1.7月30日9:00以降に下記ボタンからエントリーください。
2.メールアドレスを登録すると「インタビューセッション開始のお知らせ」というメールが届きます。記載のURLからご自身の回答を提出ください。提出期限は8月15日17:00です。
3.8月16日9:00に相互評価をするためのURLがメールに届きます。8月31日17:00までに相互評価のコメントを記入ください。
4.9月中旬の講評発表をお待ちください。
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