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寮生と共に育つ。文化を共につくる。神山まるごと高専「寮運営・コミュニティマネージャー」の募集を始めます

まるごとnote編集チームです。「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てる、神山まるごと高専に関する情報を伝えています。

一般社団法人神山まるごと高専寮では、9月より寮職員の募集を開始しました。寮の運営、コミュニティマネジメントを行う寮職員を2名募集しています。

神山まるごと高専寮のコミュニティマネージャーは、具体的にどのようなことをしていくのでしょうか。寮長の川崎克寛さんに聞きました。

川崎さんは徳島県出身。20代はカリフォルニア大学で経営学を学び、アメリカを拠点に海外交流に従事していました。日本に帰国後、(株)ワールドを経て独立。地方の企業再生や地域プロジェクトに関わり、東日本大震災後には被災地支援のリーダーとしても活動。2016〜2022年は徳島大学特任准教授として「寺子屋式インターンシップ」のコーディネートを行っていました。現在は徳島市から神山町に通いながら、2023年の学校開校に向け寮運営の準備に当たっています。

学生に多様な人たちとの接点を。その一人が自分であってもいい

ーー川崎さんが神山まるごと高専寮の寮長になったきっかけはなんだったのでしょう?
徳島大学の仕事を退職したタイミングで、もともとの知人だった理事の大南さんに声をかけていただき神山に遊びに行ったんですよ。
そこで事務局長の松坂さんを紹介いただいて、最初は雑談していたのですが、最後のほうになって「高専の寮をつくるのですが、関わってみたいと思いませんか?」と話がありました。

そこから、2022年7月に実施したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)合宿や生活・カルチャーについて考えるオンラインミーティングに参加させてもらう中で、興味関心が深まっていきました。

関わっているメンバーが本当に皆すごい人ばかりで、「(寮長に
なるのが)自分でいいんだろうか?」とずっと思っていました。

MVV合宿の様子

最終的に腹を括ったのはこの夏ですね。キャンパスツアーでスタッフが親御さんから学生の生活のことについて質問されて、それに思わず私が回答してしまうということがあり。回答内容の是非はともかくとして、自分の言ったことには責任を取らないといかん、という気持ちが自分の中にあるのを実感しました。

あとね、神山で行われた全体会議に参加したメンバーの中に、私みたいな系統の人がいなかったんですよ(笑)。

神山まるごと高専に入るような子たちって、「普通」って何?というような、天才・奇才・異才が集まってくるイメージをしていまして。そういう子たちって、より多様な人たちと接点を持つことが大事だと思うんです。

だとしたら、自分みたいな人が1人いてもいいだろう、と思ってね。

ーー川崎さんの経歴を伺ったのですが、確かにだいぶユニークなことをしていますよね。神山まるごと高専の学生と同年代の頃、川崎さんはどんな15-20歳を過ごされていたのですか?
高校は地元・徳島の県立高校に行っていました。とにかく勉強が嫌いで(笑)。バスケットボール部・ラグビー部・陸上部の3つを兼部していました。卒業して都内の私立大学に進学したのですが、2ヶ月のうち3~4日位しか大学に行かなかったんですよ。

結局退学して、大阪で住み込みのアルバイトを始めてお金を貯めて、アメリカのツアー旅行に参加しました。でね。そのツアー中に団体とはぐれてしまって、日本に帰れなくなってしまったんです。その時不思議と焦りはなく、むしろ「自由だ!」って思ったんですよね。そのままアメリカに長期滞在して、キックボクシングをやりながら社会人枠で現地の大学に通って、経営学を学びました。26歳になって日本に帰国しています。

ーー確かに唯一無二というか、同じ系統の人はまずいなさそうですね…(笑)その後は会社員や自営業、大学の先生をご経験されて、今、ということですよね。実際に神山まるごと高専の開校準備にジョインされてみて、いかがですか?
これまでのキャリアの中で、大学の「教育」が機能していないと感じた瞬間がありました。修士・博士過程に進む学生の多くは、教授の研究の助手として手足のように扱われ、組織の利権云々といったことに巻き込まれていく。

誰のための教育なんだろう?という疑問がずっと湧いていました。
研究やゼミ活動で学生に知識を伝達していく「教師」はたくさんいるけれど、学生の人間的成長に寄り添ったり、彼らの成長を促進する環境や環境づくりをしたりするような「育師」はいないな、と気づいて。

そんな中で神山まるごと高専の目指す姿や、カルチャーにふれて「これだ」と思いました。この学校、というよりも事業体が社会に与えるインパクトを考えたときに、この営みに小さくても関われるって素晴らしいと思うし、誇りですよね。こんな環境に出会えてよかった、と本当に思いますね。
 
ーー神山まるごと高専の「寮運営・コミュニティマネージャー」というと、教職員とはまた違った立場になりますし、求められるスキルもだいぶ違うのでしょうか。
神山まるごと高専寮の建物は「HOME」と呼ばれているように、学生にとっては帰る家のような存在です。その家・ホームにいる人が「教師」だと、学生も息が詰まってしまいますよね。「先生」としてではなくいち人間として、多感な時期の彼らに適切な距離感で寄り添い、必要なケアをしたり、時にはある意味空気のようになれる、ニュートラルな立場を取れる方がこの仕事には向いていると思います。

高専寮の完成イメージ

寮での関わりは授業ではないので、5学年200人の学生に対して、1対200ではなく、1対1×200の関わりができる方を望みます。学生たちの個性それぞれをそのまま受け入れる度量のある人、と言っても良いかもしれません。

また、健康・安全・衛生において細やかな配慮ができ、かつ良いことは良い、ダメなことはダメとはっきり意思表示できることは必須ですね。でも「ルールだから」と思考停止してしまうのはもってのほか。例えば「なぜ門限は22時なのか?」など、状況や目的から物事を考えられ、対話や交渉を厭わないタイプの方でないと、「神山まるごと高専寮」のコミュニティマネージャーとしてやっていくのは厳しいと思います。

建設中の寮の様子(10月撮影)

ーー「神山まるごと高専寮」の職員、というところでも、一般的な寮運営とは異なるカルチャーが存在するということでしょうか。
神山まるごと高専寮は「自治寮」です。寮生の点呼・健康チェック・設備管理・保護者対応など、一般的な寮運営の業務を行うことに加え、寮の自治のあり方やコミュニティを寮生と共につくっていく気概が必要になります

ちょうど先日開催したサマースクールの中でも、部屋替えを学生が自分たちで希望して調整しあったり、点呼時間の交渉があったりしましたが、そうした場面において寮職員がどの程度介入するのかといった匙加減や立ち回りには”正解”がありません。

集団生活をお互いが快適に過ごしていくために必要最低限のルール・心得は「ルールブック」として準備したいと考えていますが、それすらも開校後、寮生たちと対話を重ねていく中で変わっていく余地があります。

その状況を楽しめることが、とても重要なのかなと思いますね。極端に聞こえるかもしれないですが、最終的には「学校なんて行かなくても大丈夫」と思えると言うか…、自分たちで学び方もわかっていて、自分で自分の欲求を満たすことのできる、そんなカルチャーを最初の5年で学生とともに育てていきたいですね。

自分含め、最初から完璧な人なんていないと思うんです。学生たちと関わる中で自分自身のことも省みながら、一緒に成長していきたいですね。

神山まるごと高専では、寮運営・コミュニティマネージャーを募集しています。
詳細及び、応募についてはこちらをご覧ください。

神山まるごと高専寮職員募集要項/応募フォームはこちら
https://form.run/@R2-home