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神山まるごと高専(仮称)が「第一期生の学費無償化」を目指す理由

まるごとnote編集チームです。

「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てる、神山まるごと高専(仮称・認可申請中)(以下、神山まるごと高専)に関する情報を伝えています。

神山まるごと高専は1月31日、第一期生の学費無償化を目指すことを発表しました。
>プレスリリースはこちら

その背景にある想いを、理事長候補の寺田親弘さんに聞きました。

「行きたい」と本気で思ってくれる学生の選択肢でありたい。

ーー神山まるごと高専は、第一期生の学費無償化を目指すと発表しました。その内容について教えてください。

神山まるごと高専は私立ということもあり、理系の教育としてみると高校・大学を合わせたよりは5年間で安くはなる想定なものの、単年度でみると同等かそれ以上高くなるかもしません。なので、開校が実現した際には、その学費を無償にしたいと思っています。具体的には返済なしの給付型奨学金の立ち上げを目指します。

給付型の奨学金を目指すのは、奨学金の返済にとらわれない卒業後の活躍を後押ししたいから。単純に給付型と返済型だったら、給付型の方がいいですしね。

まずは一期生の学費無償化に向けて動きますが、二期生以降も持続的に学費を無償にできるよう、奨学金の仕組み作りにチャレンジしていきます。奨学金の面でも、日本で初となるような仕掛けができないか模索しているところです。

ーーなぜ学費無償化を目指すのでしょう?

家庭の経済状況に左右されず、世界を変える可能性を秘めた子どもたちの誰もが目指せる学校にしたいからです。

神山まるごと高専は2023年の開校に向け、これまでに約21億円の寄付を集めることができました。2021年10月には文部科学省へ認可申請届を提出し、現在審査中ではありますが、応援してくださる皆さんのおかげで唯一無二の素晴らしい学校が作れそうな手応えを持っています。

ただ、手厚い教育を行うゆえに学費はどうしても高額になってしまう。そうなると裕福な家庭環境の子どもたちが入る学校になってしまい、神山まるごと高専が目指したい精神性とはズレてしまいます。高専の構想当初は「野武士を集めよう」なんて話をしていたくらいですから。

それに海外に目を向ければ、ビル・ゲイツもサンダー・ピチャイも奨学金を得て学び、マイクロソフトを生み出したりGoogleを経営するまでに至っています。そういう才能あふれる優秀な人が集い、彼ら、彼女らが生み出すエネルギーが学校のカルチャーを作り、求心力を生み出し、また次の世代を集めていく。ゆくゆくは、神山が未来のシリコンバレーになる。学費無償化によって、そんなサイクルが回り出すことを期待しています。

開校に向けて寄付というかたちで応援してくださっている企業や個人の方たちをさらに巻き込み、より一層大きなうねりを作っていくためにも、学費というハードルを失くすことが重要だと考えました。

建築予定の神山まるごと高専の校舎

奨学金が世の中に良いサイクルを生み出すように。

ーー学費無償化は神山まるごと高専が目指すカルチャーと紐づいたチャレンジなのですね
奨学金の原資となるお金の出資者を、奨学生がきちんと意識することが大事だと思っています。それは奨学金を背負ってほしいわけではなく、実学を志す神山まるごと高専として「どうやって経済が回っているのか」を理解してほしいという意図です。

イメージは、企業や個人が投資のように奨学金の原資を出せる仕組み。
直接的なリターンがあるわけではないですが、例えば奨学金の出し手となる企業や個人と学生がコラボレーションをするなど、学生がさまざまな企業から奨学金を得ていることを誇りに思えるような仕組みとセットで奨学金をデザインしようとしています。

奨学金の出し手を姿の見えない存在にするのではなく、「自分はこの会社・個人の奨学生なんだ」と得ているサポートに誇りを持ちながら学び、奨学金の出し手への敬意を持って社会で活躍し、学びを世の中に還元する。そんなサイクルをつくりたいと思っています。

ーー学生が奨学金を得ること自体を教育に組み込むようなイメージなのですね。高専は全寮制ですが、学費以外に必要な費用はどうなる予定でしょうか?
寮費は別途掛かりますが、世帯年収など各家庭の状況に応じて実質の負担額を軽くしていける
ように進めたいと思っています。

本校が私立という時点で「自分は対象じゃない」と思う子どもはたくさんいると思いますが、そんな中学生たちにも、本校について進路選択の一つとして興味を持ってもらいたいと考えています。

神山まるごと高専の重要なピースとして、学費無償化へ挑戦。

ーー神山まるごと高専が学費無償化を目指すことは、世の中にどのような影響をもたらすと思いますか?

詳細は正式にお話できるタイミングで説明したいと思いますが、現段階で頭の中にある奨学金の仕組みが成り立つとしたら、企業が社会的なものにお金を回す新しい考え方やスキームを提案できると思います。

ただし、それはあくまで派生効果です。

学費無償化は学生のために目指すことであり、第一に考えているのは神山まるごと高専の成功であり、経済状況に左右されずに学生が学べることです。
神山まるごと高専を「奇跡の学校」たらしめるのに欠かせないピースとして、学費無償化のチャレンジに今は集中したいと思います。

[取材・文・構成・編集] 天野夏海 [撮影]澤圭太


2022年3月15日 追記

神山まるごと高専(仮称)は、無償の学校を実現させるための奨学金基金スキームを、3月15日に発表しました。

企業や個人からの拠出を一般社団法人の基金制度を活用して資産運用し、その運用益を奨学金として学生に給付するスキームを考案し、学費の実質無償化を実現します。

基金への拠出は、1社10億円を想定しており、100億円規模を想定しています。併せて、長期契約に基づく寄付スキームも構築し、安定的な奨学金給付を目指します。

奨学金基金スキーム図

また、1企業につき各学年4名、同社の冠をつけた「〇〇企業 スカラーシップパートナーチーム」を組成。
在学中・卒業後において、拠出企業と、共同研究・新事業の創造・学生からの起業ピッチといった、企業・学生双方にとって、メリットのある連携活動を行うことを想定しています。

奨学金基金スキーム内の連携図

早速、メディアに記事掲載いただきました。
Business Insider Japan:Sansan創業者が仕掛ける新設高専、「無償化」目指す“100億円基金”のすごい仕組み…運用益で学費をまかなう
https://www.businessinsider.jp/post-251674

note(齊藤 涼太郎FULMA株式会社代表取締役):運用益による学費無償化【神山まるごと高専モデル】の衝撃
https://note.com/taronote/

2022年6月30日 追記

神山まるごと高専(仮称)は、スカラーシップパートナーに、「伊藤忠テクノソリューションズ」と「デロイト トーマツ コンサルティング」が参画したことを発表しました。

▼プレスリリース
神山まるごと高専(仮称)のスカラーシップパートナーにCTCが参画
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000049229.html
神山まるごと高専(仮称)のスカラーシップパートナーにデロイトトーマツが参画
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000049229.html

全学年、学費実質無償の学校に、一歩近づきました。
引き続き、奨学金基金の構築に邁進します。


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