神山まるごと高専(仮称・認可申請中)
社会課題にも向き合う。 ラクスグループが語る高専寄付の裏側
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社会課題にも向き合う。 ラクスグループが語る高専寄付の裏側

神山まるごと高専(仮称・認可申請中)

神山まるごと高専(仮称・設置構想中)は、2023年4月の高専新設に向けて着々と準備を進めています。先日、文部科学省への認可申請の提出が完了しました。

>>神山まるごと高専(仮称)、文部科学省への認可申請完了のお知らせ

本当にたくさんの方のご協力、ご支援のおかげで少しずつ前に進んでいる本プロジェクト。寄付企業の一社であるラクスグループでは、2021年7月に設立したばかりのラクスみらいが舵を取って社員の方へ寄付を募り、神山まるごと高専を応援してくださっています。

ラクスみらいは、ラクスグループ全体のSDGsを推進する子会社。創業から21年間、ずっとIT事業を手掛けてきたラクスグループですが、現在ラクスみらいでは障害者雇用を生み出すべく、ベーカリーのオープンに向けて奮闘中です。

ラクスと、ラクスみらいと、そして神山まるごと高専。
これからどのようなシナジーが生まれるのでしょうか。ラクス社長の中村さんと、ラクスみらい代表の中島さん、神山まるごと高専理事長/Sansan社長の寺田の鼎談をお届けします。

※設置構想中のため、今後内容変更の可能性があります。

「社会に何かしら還元したい」想いを持つ社員が想定以上にいた

寺田:ラクスとSansanはオフィスが近所ということもあって、中村さんとは個人的に長くお付き合いをさせていただいています。まずはラクスについて、どういう会社なのか教えていただけますか?

中村:ラクスはざっくり言うと、デジタルトランスフォーメーションを推進している企業です。
SaaSとIT人材派遣の二つの柱を中心に、組織や企業の業務のデジタル化を進めています。

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▲株式会社ラクス 代表取締役 中村崇則さん

寺田:めちゃくちゃ新鮮ですね。中村さんがラクスを語っているのを初めて聞きました(笑)

中村:初めてお会いしたのは人からの紹介で、これまで仕事で一緒になることはなかったですもんね。

寺田:スタイルは違えど、ラクスと私が経営しているSansanは同じ業界で、近い存在です。その中でラクスは圧倒的に伸びて、存在感を出しているすごい会社。シンプルに、僕は中村さんを尊敬しています。

中村:ありがとうございます。

寺田:実は寄付のお話も、高専の情報を世に出すのとほぼ同じタイミングで相談に行きました。乱暴に言うと「中村さんなら受けてくれるだろう」と思ったんですよ。合理的な判断をされる方なので、きちんと提案をすれば意義を汲み取って、落としどころを探してくれそうだなと。

また、神山まるごと高専は「起業家育成」を謳っているので、その重要性を理解している中村さんなら共感してくださるだろうとも思いました。
まぁいろいろ話しましたけど、単純に応援してほしい気持ちも大いにありましたね。

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▲神山まるごと高専(仮称)理事長候補/Sansan株式会社代表取締役社長/CEO 寺田親弘

中村:寺田さんから寄付の相談をいただいたのは、ちょうどラクスとしても、ラクスみらいを立ち上げるタイミングでした。

ラクスみらいはラクスグループ全体のSDGsを推進する会社。解決したい社会課題の一つがまさに教育でしたから、神山まるごと高専は一致するなと。

中島:実際に社内SNSで管理職に向けて寄付の募集をしたところ、趣旨に賛同した人が想定以上に手を上げてくれました。

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▲株式会社ラクスみらい 代表取締役 中島晋平さん

中島:「自社が利益を追求するだけでなく、社会貢献をやっていることを誇りに思う」といった反響があり、社会に何かしら還元したい想いを持つ人は一定数いるんだと実感しましたね。中には「自分が学生だったら、こんな学校に行きたかった」という声もありました。

寺田:そう言っていただけるのが一番うれしいです。目標額の寄付金を集めることも当然重要ですが、賛同してくださった人の数も同じくらい大きなパワーになると思っています。

『ハリー・ポッター』と神山まるごと高専が重なった

中村:実はラクスみらいでは、他にもいくつか寄付先を検討していたんです。でも中島は最初に寺田さんと話し終えた時点で、完全に高専一択になっていたんですよ。

寺田:ありがとうございます! 中島さんとはオンラインで何度かお話しましたけど、こうやって直接お会いするのは初めてですよね。神山まるごと高専の第一印象は、どうでしたか?

中島:中村から話を聞いてホームページを見たら、すごいメンツがそろっていて。「これはただ事じゃないな」と感じました。

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中島:実は、私の地元は香川県なんです。隣の県のすだちの名産地として神山のことは知っていましたが、「まさかこんなことをやるのか!」と。

その後オンラインで寺田さんと話をしたら、画面越しでも凄まじい熱が伝わってきました。すでに面白いと思っていたところに、さらに火をつけられて。それはもう、焚き付けられましたね。

寺田:めっちゃうれしいです。

中島:オンラインでもお伝えしましたけど、うちの子どもが『ハリー・ポッター』にハマっているんです。ハリーは魔法を学ぶために、11歳から18歳まで全寮制の魔法・魔術学校に通うじゃないですか。なんだか高専と重なって高専がホグワーツのようなワクワクする学校に思えたんですよ。

寺田:ありがとうございます。ハリー・ポッターの例え話は別のところで2回ほど使わせていただきました(笑)

ラクスさんはIT人材を育てる事業をされているので、そこもベースとしてあったのかなと思います。

中島:そうですね。私はラクスみらいの前はラクスパートナーズというエンジニア育成型派遣をやっている子会社にいたので、「テクノロジーを扱える人間を育てる」という社会課題への強い想いもありました。

当社の場合は社会人になってからのエンジニア育成ですけど、高専ではその手前の教育でIT人材を育てる。シンクロしているのを感じましたし、そこは刺さった部分でしたね。

でも、最終的には寺田さんのプレゼン力ですよ。画面から飛び出さんばかりの勢いで、熱く高専について語っていただいて。

寺田:すみません、圧が強くて(笑)

「ベーカリーが楽しくて、ずっと仕事のことを考えています」

寺田:ところで、ラクスみらいの立ち上げはいつから考えていたんですか?

中村:2〜3年前から構想はありましたね。

中島:きっかけは、障害者雇用でした。グループとして法定雇用率を満たさなければいけない現状があって、その目標達成のため、と言うのがスタートです。

中村:障害者雇用を生み出すなら、ITとは違うアプローチの方がいい。それなら別会社を作るのがいいだろうという経緯ですね。

営利団体であるラクス本体と、そうでないラクスみらいは目的が異なります。極端な話、ラクスみらいの営業利益率は0%でもいい。目的が違う以上は組織を分けるべきであり、そうすることによってそれぞれの目的を突き詰めることができると思っています。

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中村:とはいえ、ビジネスモデルとして成り立たなければサステナビリティは実現できません。社会貢献を積極的に推進していきたいですし、収支が立てば法定雇用率以上に障害者の採用だってできます。なので、営業利益率は1%を一応の目標に据えていますね。

寺田:目的ごとに会社を分けるのは合理的ですよね。赤字を良しとするわけでも、儲けようとするでもないバーの設定が、僕の知る中村さんらしいなという感じがします。

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寺田:ラクスみらいでは、今は主にどのようなことをしているのでしょう?

中島:ベーカリーを2022年1月にオープン予定で、今は準備中です。

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中島:ベーカリーの仕事は作業を細分化できますし、材料の計量ひとつとってもグラム数や食材の温度が明確に数字に落とし込まれています。数字を使ったマニュアルは障がいをもつ社員にも理解しやすく、私たちが想定していた以上に、皆さん作業を理解するのが早いです。

まずは一店舗12〜13人、約半数を障害者の方で採用予定ですが、当初の想定より順調に採用ができていますね。

中村:ベーカリーでは雇用を作り出すために、基本的には機械化や自動化をしない方向で進めていくと思います。ITだとどうしても人力を削減する方向に向きがちなので、普段やっていることとは全くの逆です。

中島:今はまだ店舗がないので、本社のセミナールームに小麦粉や牛乳、ボールを持ち込んでインターンの学生の方に計量作業を体験してもらったり、先日は社内のカフェスペースに模擬店舗を作って、1週間お昼にコーヒーを配ったりもしました。

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▲ベーカリー店舗ビジュアル

中島:インターンの学生も日を重ねるごとに皆さんどんどん上手くなるんです。最初は恥ずかしがっていた人が「明日もコーヒー飲みに来てください」とアドリブを入れるようにもなって。成長が見えて、すごいなと。感慨深いものがありました。

寺田:面倒見が良いというか、中島さんの根底に人間的な優しさがあるからこそ、うまくいっているんじゃないかなと思いました。

中村:まさにそうです。面倒見、すごくいいですよ。

中島:いやいや、そんなことは。でも、ありがとうございます。

寺田:物事は人で決まるので、中島さんみたいな人がいたことは大きかったんだと思います。何を持って成功かはわからないですけど、ラクスみらいでみんなが幸せになると、それが一つの事例になりますよね。ソーシャルベンチャー立ち上げ物語として、「うちもやりたい」と他の社員の方や他社から新たに手が挙げると、素敵だなと思います。

何よりも中島さんが楽しそうにやっているのが最高ですね。

中村:めちゃめちゃ楽しそうですよ。ラクスパートナーズの時、こんなに楽しそうじゃなかったですもん!

中島:いやいや、ラクスパートナーズも楽しかったですよ!

寺田:(笑)

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中村:中島さん、異常なモチベーションですよ。

中島:もともと好奇心は旺盛な方なんです。全てが未知の世界でオールラウンドに何でもやれるのが楽しくて。今は何年かぶりに、ずーっと仕事のことを考えていますね。

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▲「良い人が採用できたり、良いデザインの店舗ができそうだったり、考えたことがちょっとずつ形になっていくのがうれしい」と中島さん

給食に教育。これからのラクスと高専でやりたいこと

寺田:ラクスみらいと神山まるごと高専、これからどんな関わり方や連携があり得そうでしょう?

中島:一つ考えているのは、食育です。僕らがやろうとしているベーカリーは国産小麦100%で無添加という体に優しいパンなので、例えば給食にパンを出させていただけるといいなと。

寺田:いいですね。ラクスみらいの立ち上げのストーリーと一緒にパンを食べたら絶対うまいでしょうね。

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▲「いいな、うまそうだな」とイメージするあまり、寺田は話の流れが頭から飛びました

中島:先の話にはなりますが、全国展開していく中で四国にもぜひ出店したいですね。高専の近くに店舗を出せれば、作ってすぐに持ち出せますし。

中村:もし高専に社会起業家を目指す人がいるのであれば、われわれはサステナブルに社会課題を解決するビジネスモデルをやろうとしているので、そのケーススタディにもなるかもしれないですね。



寺田:うれしいですね。グループ全体に呼びかけ、賛同してくださった方から応援をいただいて、同時にそれがラクスみらいを立ち上げる際のインシアチブとなり、一つの事例にもなる。一度にたくさんのことを叶えられているような、そんな喜びがあります。

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寺田:あとはラクスとも、ぜひ教育の部分でご一緒できたらいいなとイメージしています。

例えばラクスでエンジニア育成をしている方を神山にお招きして、ラクスの教育のカリキュラムを使った授業を高専でしていただく。それは社員の方にとっても意味のあることなのではと思っています。

中村:いいですね。授業をする社員が善なることだと思えることは、それだけで意義があると思います。

「すごい人の道」は自分の足元からもつながっている

寺田:最後に、お二人は10代の若い人たちにどういう学びがあったらいいと思いますか?

中村:一般的に言われることですけど、やはり考える力や生きていく力を身につけられるといいですよね。実現しそうにない、夢みたいなことを考えたとしても、そこへたどり着くための階段を見つけられるような教育ができるといい。

中島:学生が楽しんで学校に行けるといいですよね。なかなか全員がそうはなれないと思いますけど、神山まるごと高専だったらほぼ全ての学生が毎日楽しく学校に行っている。そういう学校になるといいなと思いますし、そうなりそうだとも感じています。

中村:僕は山口県の田舎の高校に通っていて、当時はインターネットもなく、世界が見えなかったんですよ。身の回りに世界を知っている大人もいなかったし、レンタルビデオで海外の映画を借りるのが精一杯で。

でも、神山まるごと高専からは世界が見えると思うんです。神山でも世界とつながれる。

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寺田:僕もまさに、遠くにあるものを別世界と捉えるのではなく、「普通につながっているんだ」という感覚を持ってほしいと思っています。

「起業家ってすげえな」ではなくて、「この間来たおじさんだ」「あの授業のおばさんじゃん」みたいなテンションでいてほしい。「普通の人なんだな」と感じてもらうことを大切にしたいです。

中村:先ほどお話した「夢にたどり着ける力」も同じことで、「できると感じられる力」とも言い換えられる。

寺田さんがおっしゃったように、起業家に対して「その辺にいる人なのに」くらいに思ってもらえると、学生も「自分にもやれるんじゃない?」とイメージできそうですよね。

寺田:多分、僕や中村さんはそれなりに成功した人と見られていると思うんです。でも、そう見られている人のほとんどは、「そんなに特別じゃないんだけどな」と思っている。

中村:わかります。運が良かったな、くらいですよね。だいたいみんな普通の人ですから。

寺田:余談ですけど、取材を受ける際に「あなたがいかにスペシャルか」的なことをあぶり出すような質問をされることがあって。

「昔からあなたは尖っていたから、なるべくして今に至ったんですよね」という裏付けがあるストーリーは納得しやすいのでしょうけど、「そんなわけないじゃん!」と僕は言いたい。

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中村:自分を振り返っても、受験があるから帰宅部っていう普通の高校生でしたよ。

寺田:僕も似たようなものですよ。スティーブ・ジョブズだって、ちょっと性格が悪いぐらいで、普通の人だったんだと思います。

成功したように見えている人が歩んだ道は、自分からもつながっている。若い人たちにはぜひそうやって考えてほしいです。

中村:同感です。僕らはまだ神山に行ったことがないので、今後連れて行っていただくのを楽しみにしています。

寺田:僕らとしても寄付をいただいて終わりではなく、その後も接点を作ってきたいと思っています。学校開設に向けてやることはまだまだ山積みですから、これからもぜひお力を貸してください!

※写真撮影の間のみ、マスクを外しています

[取材・文・構成・編集] 天野夏海 [撮影]上野 裕二


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